目が覚めるたび、これが夢ならどれだけよかっただろうか、と思うようになりました。
…違う違う。こんな泣き言を書いている場合じゃあないです。
前回、ここが魔域なんじゃないか、と日誌に書き込みましたがどうもこれが本当のことなんじゃないか
と、思うようになってきました。
この魔域が、街だけではなく周辺の村や国を巻き込むほどの大きさなのだとしたら、
この魔域を攻略しにきた他の国の冒険者さんたちを"奴ら"が排除したとしたら
街の人は、日常の小さな変化には気づかないでしょう。ある人物が、別の人物にすり替わっていたとしても。
ましてや、それが神という絶対的な存在なら、そういうものなのだろうと納得するでしょう。
'奴ら'も運がないですね。本当に。
ただ、ほかの国の冒険者の有力なPTでさえも、やられるんです。
あーし一人では、普通にやられるだけです。
策を練らなければなりません。悟られないようにしなければなりません。
どうにかして、あのアビスコアを破壊しなければ、
あーしはオルガちゃんが待つブランブルグへと、帰ることが出来ません。
無事に帰れたら、いっぱいぎゅーっとしましょう。何回ぎゅっとしちゃうか分からないですけど。
どれだけ時間が掛かるか分からないですし、オルガちゃんも心配で、もしかしたら怒っているかも
しれませんけども………あの時みたいにいっしょにお風呂に入って、いっぱいいろんなことをお話しすれば
きっと…きっと許してくれます。
絶対に、帰ってみせます。
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