ブランブルグから歩いて数時間程度、小高い山があり、そこには頭にキノコを生やしたドルイドと、同じく頭にキノコを生やしたジャイアントリザードがいるという。
そう、頭に小さな白いキノコを生やして一所懸命にキノコの面倒を見ているこの変人。これが今回の主人公、シュラムだ。そして、この見事なキノコを頭に生やしたトカゲ、キノコリザード(という新種のキノコだとシュラムは思い込んでいる)が傍らに鎮座している。
ある日、シュラムの元に不思議な人物が訪れる。
彼は、キノコ飼育&栽培と森の木々の手入れや池の水質管理、精霊達への祈りなどの地鎮などを済ませ、庵に戻って一休みしていた。そこに、
「もし、もし。」と戸を叩く者がいる。
「ほい。なんでしょう。(お客さんかな?)」とシュラムは戸を開ける。
その者は実に小柄で肌の一切を隠した怪しい人物だったが、頭にキノコを生やしたこの男の前では怪しさ半減というものだろう。入り口近くの地面の穴から顔を覗かせるキノコリザードが欠伸をした。
「シュラムさんで、間違いありませんか?」彼?は口を開いた。
「えぇ、私がシュラム。ドルイドを生業としております。」とシュラムはこたえる。
「あぁ良かった、突然ですが、あなたにお頼みしたいことがあります。報酬もお支払いします。」と彼。
シュラムは「えぇ私にできることならば。」と。
依頼人は「この、種を、植えてきて頂きたいのです。」と種を取り出す。
「ほう、種。」と受け取るシュラム「これは、、、ふむ。これをどこに植えればよろしいのですか?」
依頼人は答える。「とある、“リビングツリーの地”でございます。」
その言葉にシュラムは驚いた。リビングツリーとは、ある意味“森の主”とも呼べる存在。そして、“リビングツリーの地”とは主達が集う地であることを示すからだ。
依頼人は続ける。「その地で【グロウ・プランツ】を使用し、この種の生育を助けて頂きたいのです。」
「グロウプランツ、、、というと森羅魔法でしょうか。」と聞き返すシュラム。
「えぇ、今からお教えします。」と依頼人。
2人は庵を少し離れた広場に来た。広場は秋の終わりを告げ、冬の始まりを感じさせる様相だ。時折寒風も吹くが、2人は慣れているようだ。
「それでは、やってみますね。」と依頼人は片膝をついて、地に手を当てマナを集中させる。
「、、、、、、」すると、手を翳していた地面からニョキニョキとキノコが生えてくる。お馴染みの【ホワイトシュルーム】だ。
「なんと!?キノコが生えてくるのですか!?」と驚くシュラム。付いてきていたキノコリザードも口が開いている(食べたいのかな?)
依頼人は無視して続ける。途中でキノコリザードが耐えかねて生えたキノコを食べに来たが、とりあえずは教わることができたようだ。
シュラムがキノコリザードと戯れて餌やりやら撫で撫でやらしていると、
「では、よろしくお願いいたします」と依頼人は足早に去っていった。
シュラムは全然気が付かなかった。何をやっとんのだ。見送らんかい!ペシッ
こうして、不思議な依頼を受けたシュラム。しかし、ドルイドとしてはまだまだ修行が足りない。リビングツリーの地に出向くには実力不足なのである。そして、彼は冒険者の仲間の力を借りようと、百の剣亭に出向くのである。
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