オーバーホール終了。
各可動部、プログラムはオールグリーン。
記憶領域、異常なし。
ようやく生還したという実感を得ることが出来た。
今回の任務は、それ程までに際どいものだった。
外装修復を担当したのは、かつて私を拾ったレプラカーンの女性だった。
宛てのない旅の途中だが、しばらくはブランブルグで冒険者も兼業するつもりらしい。
お互いに、心行くまで近況を話し、意見を交わした。
ブラックボックスは信用し切れないが、協力してくれた彼女ーーリヴィエラには感謝している。
そして、今回の戦線を共に支えてくれた仲間達にも。
部屋に戻ると、ロンが心配そうな顔で迎えてくれた。
万が一を考えて「遺言」を託していたのだが、今回もその約束が果たされずに済んだと実感する。
ルーンフォークの生命は、他の種族と比較して捨て易いものではある。
故に、いざという時に捨て石になる覚悟はあるし、手動でのバックアップも欠かしてはいない。
だが願わくば、彼らの存在という記憶だけは手放さないように、私自身もまた護りたいと思った。 |