もう、誰にも仕えないつもりだった。
もう、誰とも仲良くしないつもりだった。
寿命の近い私が死んだ時に、涙を流す人がいないように。
最期まで心を輝かせていたご主人さまたちみたいに、私も最期まで全力で生きていられればそれで良かった。
冒険を続けていた理由はきっと、死が近い場所だったから。


でも最近、とっても大きな転機があった。
それは、フェリアそっくりの同胞を引き取ったことだ。

その子を見つけたのは、ルーンフォークを奴隷として扱っていた時代の鉱床跡を探索していたときだ。
そこにあったジェネレーターは、生まれてくる命を忠実な鉱夫として扱いやすいよう、心を調整しているようで。
私たちの目の前で生まれた彼も、仕えるべき主はもういないのに、それでもつるはしを持とうとした。
彼には、鉱石を掘る以外の生き方がわからないのだという。

そんなの、もったいない。
私たちは、"愛される"ために生まれてくるもの。
愛のあたたかさを知らないまま虚ろに時を過ごすなんて、私が許せない。
だから、私が預かることにした。



愛を知らない小さな子が、生き方にとまどっていることを知っている。
気づかないふりをしていたけれど、今の私を愛してくれる人が、たくさんいることを知っている。
愛を教えるのにも愛してもらうにも、残された時間は少なすぎることを知っている。

そうしたら。
願わずにはいられない。
もっともっと、生きていたいって。
求めずにはいられない。
ずっとずっと、みんなと一緒にいられる方法を。



なにはともあれ、呼び名が必要だ。
あなたの体は、フェリアが元となって作られている。
だから、ちょっとだけ音をもらおう。

あなたの名前は、フィニクス。