鍵屋のドワーフの家に子供が生まれたらしい。鉄錆色、茶褐色の髪が可愛いドワーフだ。そう。この子が今からの話の主人公、ダンガンデンクルト=フラム君だ。キースミスのフラム一家の三男坊はグレンダール神の加護を受け、スクスクと成長してゆく。
ダンガン14歳。やんちゃな彼の最近の楽しみはファンタジー小説“炎の戦士ブレイズ”を読むことだ。
どんな本かというと、ある国のドワーフが書いた空想小説で、グレンダール神の加護を受けた炎の戦士ブレイズが迫り来る魔物達と壮絶な戦いを繰り広げ、ついには大陸全土を巻き込む魔物との大戦争へと発展するバトルファンタジー小説。ブレイズにはモチーフとなるドワーフがいたという話もあるが定かではない。
この本が彼に与えた影響は計り知れないといえる。彼は息を吐くようにキザなセリフを言うし、周りからは厨二病扱いを受ける。しかし、悪いことだけではないのである。
ダンガン30歳。彼のブレイズへの憧れは、形だけではなかったのである。彼は周りに馬鹿にされながらも我が道を推し進んだ。そして、その熱き思いと願いをグレンダール神が叶えたのか、彼の武器は赤熱し、魔物を焼き払う炎の拳を手に入れたのである。また、鍛え上げた身体はもう誰にも馬鹿にされるようなこたはなく、本当に炎の戦士といえる姿である。こうして、強くなった彼の物語は次の章へと行を移す。
彼は村を出た。大好きな村からは冒険者になってしまうことを惜しまれたが、彼の事を気持ちよく送り出してくれたのだった。(この時に元カノと別れることになるのだが、また、別の機会に。)
炎の拳を振るう、ダンガンはきっとグレンダール神の加護とブレイズへの夢を胸に、壮大な冒険を繰り広げる事だろう。彼にグレンダール神の加護あれ! |