最近、二回ほど別れというものを経験した。それも死というものを通じての別れを。
それは。しばらく前に、共に冒険者の依頼を受けた少女キャノと、そして昨日は依頼の護衛対象の少年ポルカと。
だがそれはあるべくしてある別れだったのだから、俺がどうこうできるものではないのは確かだ。キャノは、俺達と別れたあと、別の冒険者パーティと組んで巨大ムカデと戦った時の戦死だったというし(ちなみにその巨大ムカデは俺達が改めて戦って倒した)、ポルカはそもそも最初から生きてはいなかった事に彼の故郷にたどり着いた時に気づかされた。
二人ともハルーラの導きによって正しき輪廻に旅立っただう。その事を悲しく思い、そして安心した。きっといつか輪廻の果てにまたこちらに生まれてくるだろうから。
だが。
涙を流せないのは俺が壊れているからだろうか?悲しみの涙を堪える事ができた、というものではなく、悲しく思っても涙が出なかった。以前の日誌で知り合いが『壊れた』と言っていたことを記したが、真に壊れているのは実は俺なんじゃないだろうか?もしそうなら、今一番親しくしているサーニャに何かあっても俺は涙一つ流せないのではないか?
もし仮に俺が壊れていて、涙が流せないのだとしたら、間違いなく『あの時の事』が関係してるとは思う。だとしたら、俺は‥‥‥(日記はここで途切れている)。
PS:またハルーラからだろうが、不思議な問いかけがあったように思う。『ずっと集めている/築きあげてきたものとは』と聞かれた、それには「冒険者としての経験や思い出」と思うと答えた。その答え自体は間違っていないと思うが、それがもしかしたら壊れた俺を人として戻れるヒントになるのだろうか?
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