先日の遺跡探索でのことだ。
幾度となく依頼を共にしているカーリーの機転の良さに改めて感心させられた。彼女の実力は以前から評価していたが、今回の遺跡探索において巧みな魔法の使い方やスカウト技能の使いこなし方には目を見張るものがあった。
今更ながらに、冒険者としての心得として、探索を怠ってはいけない事を思い返される。探索、即ちスカウトやレンジャーの技能の事だが、俺もレンジャーの技能がある。しかし役割上どうしても戦士の技能やプリーストの技能に訓練の比重を傾けてしまいがちになる。
パーティ単位で役割分担を考えると、そのこと自体に間違いはないが、今回のカーリーの機転の良さは自分にできる事を最大限に生かしつつ状況を判断してどう使うべきか、きちんと理解している点にあった。この事は、どのような技能を持つものであれ、見習うべきことだと思う。

さて、ついに俺は☆7に昇格し、恐れ多くも『ハイペリオン（勇者）』という冒険者ランクを戴く事になった。☆7以上の依頼は，☆6までの冒険とは比較にならないほどの苛烈な冒険依頼だと聞いている。☆7以降の冒険者というのは、伝説に名を連ねるような偉大な英雄や勇者と肩を並べるほどの実力者の領域と聞いている。常人の領域を超えるほどの偉人や勇者、英雄の、そして神に至る実力者たちの。そんな御大層な領域に俺とサーニャは足を踏み入れたわけだ。カーリーの様に頭が回るほど器用ではないにせよ、改めて自分の実力というものをしっかり把握して、これからの冒険に臨むこととしよう