○月✕日
サクラ・プリズンから帰還して一週間が経った、流石に上書きされた記憶と俺の記憶を混同して混乱する事は無くなった。イズとマリヤにその事で心配させてしまう事ももう無いだろう。ただ、やはり平穏を願う気持ちが離れない…もう限界なのだろうか。
最初は大切な家族や故郷を奪っていった魔神への復讐の筈だった、何処かで、魔神を殺していく中で朽ち果てるのだろうな。なんて事も考えていた。今も憎しみは消えず心の何処かに残っているのはわかる。けれど、冒険者として生きてきた時間の中で多くのものを失って、それでも沢山の大切なものを手に入れた。俺はもう大切なものの為に冒険者を止めてただのクレーベルとして…は、流石に難しいかもしれないが別の道を考えても良いのかもしれない。幸い貯金もイズとマリヤと共に何年も生きれる分は貯まったし、教わってから何年も経つが父さんから教えて貰った技術も生きる助けになるだろう、なんなら誰かに剣を教えても良いだろうしな。本当に冒険者になったばかりの俺にこの日記を見せたら驚くのだろうな…平穏の為に冒険者を止めるなんて全く思って無かっただろうし。…まずは明日になったらイズとマリヤに相談しないとな。