宿の屋上で色々ぶちまけてべそかいて
あれからえらいな月日経った気ぃする。
あれからその広う逞しい背中はずっと遠うに行って見えへんくなった
うちと一緒に泣いてくれはった優しい笑顔もずっと遠うに行って見えへんくなった
うちは一生懸命走ることにした。貴方の背中見えてくるまで
うちは一生懸命走ることにした。もういっぺん会えた時にその笑顔曇らへんように
息切れすることもおました。なんべんも泣いてまいました。なんべんも困惑して。なんべんも周りに迷惑を掛けた。
走るのやめよう思た瞬間かてなんべんもおました。えげつのう大事なものも預かった。
成長したかなと一瞬思たこともおましたけどやっぱしうちはうちのままあまり変わってまへん。
男の人やら魔神やらやっぱし怖いままで、おっかなびっくり隅っこを歩いてるままや。
でも、でもな。
今こうやってライセンスに星一つついたことに、胸のおさまりがつかへん。
ようやっと背中が見えてきた気ぃする。隣に歩けるかな。見上げることできるやろか。
そやけど安心して歩みを止めたらまた遠うに行ってまうのやろうな。それが冒険者だもの。
なあ、オーグンはん。
PS.アリアル姐さんは影すら踏めん遥か彼方や。どないしよう。がんばろ?きっと行けるで |