彼は、随分と、高ランクで戦ってきた戦士であったらしい。
ニーヴガンド、百の剣亭の高ランクではほとんど見かけない、同族の一人であった。
話は聞いていた。高火力のレギレクスの亜種にかみ砕かれて、再起不能。いや。死亡したという話だ。
不思議と悲しみというものがなかったのは、きっと、その戦場に私がいなかったから、ではない。
それは、彼が蘇生を受け入れなかったからだろう。
彼は、戦士として。圧倒的な壁に阻まれて死んだ。
そして、そこにあったのはきっと、心が折れたからではなく、戦士として満足できたから帰ってこなかったのだろう。
で、あるのならば、同じ戦士として、同族として、声を上げるならばこうだ。
『じゃあね!同族。アンタは戦士として逝ったのね!またいつか、楽しみましょう!!』
墓参り用に買ったお酒を思いっきりお墓にかけた後。
自分にも彼にもらしくない花束を、墓前に供えて、私は、普段と変わらぬ、日常へと戻るのであった |